応援練習をする滋賀学園の野球部員ら

チームもベスト8に躍進

 滋賀学園の部員は計71人。大阪、沖縄、愛知、石川など県外出身者が大部分を占め、部員たちは寮で生活している。寝泊まりする各部屋にテレビはなく、携帯電話の使用は禁止されている。昭和の厳しさを想起させる厳しさだが、部員たちは野球に打ち込む傍ら、自主練習に重点を置き「自分で考える力」を養う。

 アマチュア担当のスポーツ紙記者はこう話す。

「スタンドの部員たちはカメラが向けられると真顔で踊って盛り上げていましたが、ふざけているわけではありません。滋賀学園が話題になって1人でも多くのファンに応援してもらいたいという思いでやっていました。実際に相手校の攻撃の時は、真剣な表情でグラウンドを見つめていましたし、激励の声援を送っていました。試合に勝った後も浮つく素振りを見せず礼儀正しかったです。滋賀学園は『県外からの寄せ集め』と揶揄された時期がありましたが、一生懸命に野球に打ち込み、近隣住民に挨拶をしっかりするなどグラウンドを離れても礼儀正しい姿勢を続けたことで見方が変わり、応援する人たちが一気に増えた経緯があります」

 熱い声援を受け、選手達も奮起した。夏の滋賀県大会を勝ち抜いて15年ぶり2度目の夏の甲子園出場を果たすと、開幕ゲームで有田工との打撃戦を制して10―6で夏の甲子園初勝利。2回戦では花巻東に5―0で完封勝利。3回戦も霞ヶ浦に6―2で快勝して、ベスト8に躍進した。

「プロ注目の遊撃手・岩井天史、リードオフマンの多胡大将、パンチ力がある仲田隆玖を筆頭に強力打線が売りで、犠打など小技の精度も高く得点力が高い。投手も3年生の脇本耀士、高橋俠聖、2年生右腕の土田悠貴と力のある選手がそろい、頂点に駆け上がる力を持ったチームでした」(スポーツ紙デスク)

 だが、19日の準々決勝・青森山田戦では0-1と惜敗。甲子園3試合で21得点をたたき出した打線は相手の倍以上の9安打を放ったが、あと1本が出なかった。1失点に抑えた投手陣は責められない。春夏通じて同校初の4強進出を逃したが、強豪校を撃破してきたその戦いぶりは高く評価される。

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そして最後の瞬間は…