応援団長の荒井浩志君

ダンスの動きが止まった

 印象的な光景があった。

 応援団長として盛り上げた外野手の荒井浩志は三重県出身。甲子園出場を夢見て滋賀学園の野球部に入った。3年間ベンチ入りは叶わなかったが、スタンドでキレのあるダンスと表現力豊かな表情で応援を引っ張り、一躍人気者になった。ただ、青森山田戦の最後は違った。

 1点差を追いかける9回2死で最後の打者・杉本晴基が遊ゴロを打った瞬間、ダンスの動きが止まり、グラウンドを見つめた。踊り続けている時も、試合が気にならないわけがない。敗戦でうなだれる仲間たちを見つめる目は真っ赤だった。沈黙のスタンドで、3年生の仲間たち1人1人と抱き合い、静かに涙をぬぐっていた。

滋賀学園、最後のバッターとなった杉本は遊ゴロでヘッドスライディングするが及ばず試合終了。喜ぶ青森山田の選手たち

 野球に打ち込み、スタンドで応援していた姿は美しい。滋賀学園だけの話ではない。甲子園でプレーした選手たちはもちろん、ベンチ入りできなかった選手たちにとっても、高校3年間は色褪せない貴重な財産になるだろう。

(今川秀悟)

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