中央大は1970年代まで長きにわたって司法試験合格者ランキングで東京大とトップを争った、「中東戦争」の異名をとるほどで、このころ中央大OB弁護士から政治家になったのが、高村正彦(自民)である。
法政大、日本大は市町村議会や都道府県議会を経て国会議員となる者が見られる。その代表格は前首相の菅義偉だ。菅の政治家人生は横浜市議会議員から始まっている。
国際基督教大、上智大出身は強みのグローバル性が示され、留学経験者が少なくない。
上智大の野田聖子はアメリカのハイスクール卒業、猪口邦子はイェール大で博士号を取得している。国際基督教大の牧島かれんはジョージワシントン大で修士号を取った。
■都道府県知事にも東京大出身が多い
都道府県知事は東京大出身者が圧倒的に多い。東京大から総務省、財務省、経済産業省などの官僚として手腕を振るった後、定年後あるいは定年を待たずに退官して、知事になるケースだ。なかでも総務省(旧自治省)が幅を利かす。
総務省は地方行政を担当しており、同省幹部が都道府県に出向して副知事になるケースが多く見られる。そこで「わたしは副知事にとどまらず、知事となって、良い町作りをしよう」と野望を抱き、知事選挙に打って出るわけだ。東京大卒で総務省出身の知事には、阿部守一(長野)、平井伸治(鳥取)、山口祥義(佐賀)、河野俊嗣(宮崎)などがいる。
政治家を養成する大学はない。しかし、政治家を多く送り出す大学には、それなりに傾向が見られる。政治家志望の高校生にとって、少しばかり参考になるかもしれない。
※AERAムック『就職力で選ぶ大学 2023』より