2021年の体操・全日本種目別選手権で平均台の演技をする村上茉愛さん

東京五輪直前の“自衛策”とは

――一番ダメージの大きかったのはどのような言葉でしたか。

「村上茉愛死ね」とか「うざい」とかはけっこう言われたんですけど、私にとっては最上級の悪口なので、さすがに傷つきましたね。

 同じアスリートの友人たちは、私への中傷コメントを見たらインスタ側に通報してくれたりと、助けてくれました。でも、お互いあまり深く相談しあうことはなかったですね。思い出させて不愉快な気持ちにさせるのも悪いし、「こういうこと言われたんだよね」「嫌だよねー」くらいの浅い会話にとどめるようにしていました。

 もちろん、SNSにもメリットはあります。ファンの方々に感謝の気持ちを伝えられるし、もっと応援してもらうために自分のリアルな姿を発信していくのは大事です。でも東京五輪の直前は、試合に集中するため、インスタのストーリー投稿に返信できないようにしたり、DMも送れないようにしたり、誹謗中傷をなるべく見ないための対処をしていました。
 

――東京五輪の女子個人総合決勝を終えた後のインタビューで、SNS上の心ないコメントに傷ついたことを涙ながらに明かしていましたが、あの時はどのような気持ちだったのですか。

 体操女子のシモーネ・バイルズ選手(アメリカ)が精神的な不調で棄権したことが話題になっていたので、メンタルヘルスや誹謗中傷問題について質問されたんです。私も、今までため込んでいたものをどこかで話したい思いはあったので、覚悟を決めました。

 目指してきた五輪の舞台がいつなくなるか分からない不安の中、夢を壊すようなことを言われてすごく悔しい思いをしてきたこと。でも、そういう声に負けないぞという気持ちで、必死に頑張ってきたことを伝えたかったんです。

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