阪神の井上も状況は秋広と異なるが、くすぶりが続いている。大阪・履正社時代は3年夏の甲子園決勝で奥川恭伸(星稜・現ヤクルト)から3ランを放ち全国制覇に貢献。2019年のドラフト2位で阪神に入団し、プロ入り後も二軍では安定した結果を残しているが、一軍ではその打棒が鳴りを潜めてしまっている。

「二軍ではどこへ投げても打ちそうな雰囲気があるが、一軍に上がると別人のようなスイングになる。大きな体に似合わない優しい性格がマイナスに作用しているのかもしれない」(阪神OB)

 結果も求められるようになるプロ5年目の今季は、5月10日に一軍昇格するも9試合の出場で打率.208(24打数5安打)と結果を出せずに同月27日に登録抹消。二軍では打率.287(261打数75安打)、5本塁打、34打点と相変わらず安定感を見せているが……。

「打撃だけではなく肩も強くて足も速く、なにより真摯に野球に取り組んでいる。人間性も良く努力が結果に繋がって欲しいが、(プロの世界では)人の良さがマイナスになっているのかもしれない。マスコミやファンの声を気にしてしまう部分もある」(阪神関係者)

 井上も秋広と同じくチームには若手のライバルが多い。同じ右打ちの外野手には2022年のドラフト1位ですでに定位置を確保している森下翔太がおり、3年目の前川右京も売り出し中。よほどの結果を残さないと出場機会を得るのは難しい状況に見える。オフには結婚と子供が生まれたことを発表、なんとか一軍でも存在感を示したいところだが現時点では先行きが見えてこない。

 野村もプロ入り後から長距離打者として大きな可能性を示していた1人。埼玉の花咲徳栄では2年時に夏の甲子園で優勝(2017年)を経験し、高校通算58本塁打をマークした。2018年のドラフト2位で指名され、プロ入り後はブレイクの兆しこそ見せるがなかなか殻を破れない。

「金属バットとはいえ58本塁打を打つのは並大抵ではない。数年でプロに慣れた後は一軍でレギュラーに定着するような能力の高さを感じた。まさか6年経っても一軍と二軍を行ったり来たりの現状は想像できなかった」(日本ハム関係者)

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トレードでの移籍も飛躍のキッカケに?