「急激に衰えたとは感じないですね。バットは振れていますし、守備の動きを見ても体にもキレがある。長打力をフォーカスされますが、彼はライナー性の弾道で打球を飛ばす中距離打者です。広いバンテリンドームは本塁打がなかなか入らないですしね。1軍で試合に出続ければ、打率.280、15本塁打を打つ力は持っていると思います。打順は6番が適任ではないでしょうか」

 ビシエドに関しては、力の衰えを指摘する声が少なくない。打率.348、26本塁打をマークして首位打者、最多安打を獲得した2018年に比べると、35歳の現在は物足りなく映る。年齢を重ねるとともにパフォーマンスが落ちるのは仕方がない側面がある。ただ、セ・リーグ球団のスコアラーは違った見方を示す。

「スタメンにいるだけで怖い選手がいます。中日で言えば、中田とビシエドです。中田が離脱したタイミングでビシエドが上がって来なかったときは正直助かりました。経験豊富な選手なのでここぞというときに集中力を高めて仕事をする。中田と同様に一塁の守備が巧いですしね」

大幅減俸で現役続行希望なら

 16年から来日し、家族で名古屋に住んでいるビシエドは中日に特別な感情を抱いている。オフになったタイミングで帰国する外国人選手が多い中、ビシエドは球団納会、ファンフェスタに参加する。こんな助っ人は今までいなかっただろう。「タンケ」(スペイン語で「戦車」を意味する「エルタンケ」から)の愛称で親しまれ、他の外国人選手のまとめ役として慕われるなど、数字に表れない貢献度は大きい。

 親日家で、ファンにも愛されているが、来季の去就は不透明だ。中田は昨オフに2年契約を結んでおり、石川も打撃で確実性が増している。内外野を守るユーティリティープレーヤーの福永、カリステ、板山も控えており、ビシエドが戦力構想から外れることが考えられる。

 今季途中にも「他球団にトレード移籍」の可能性が取り沙汰されたが、3億5000万円(推定)という高額な年俸がネックになった。だが、中日で現役引退ではなく、大幅減俸で現役続行を望むなら他球団が獲得を検討する可能性がある。パ・リーグ球団のコーチは高い評価を口にする。

次のページ
郡司裕也、アリエル・マルティネスは日本ハムに移籍して活躍