過去の甲子園の試合でも、捕手の股間にボールがあたった場面があった。介抱する打者

――我慢して試合に出続けたんですが、どうすれば良かったんですか

「まずは、患部を冷やすことです。凍傷のリスクがあるので、氷を直接当てることは避け、時間も15分を目安にして、30分は超えないように注意してください。野球部員がデッドボールを受けた後に応急処置でよく使っている「コールドスプレー」は、凍傷の危険があるので絶対にダメ。スプレー式の鎮痛消炎剤も、痛いだけなので控えてください」

――私の場合、試合後も顔色が真っ青だったみたいです。病院に行く必要はあったんでしょうか

「医師としてなによりも伝えたいのは、『心配だったら、すぐに病院に来てください』ということです。逆に、どうして病院に来ようとしなかったのですか?

――格好悪いから親にも言えないし、病院で見せるのも……。

「やっぱり。中高生くらいの男の子は、無理して我慢しちゃうことが多いんだけど、子どもをつくるための大切な器官だから、早く受診することがとても大切なんです。中高生で一人でやってくる子は、『ケンカ』が理由のケースが多くて、親や先生に言えないって話すんだけど、とにかく我慢せず、早く病院に来てほしい。思春期の男の子にはぜひ知ってほしいことです」

しっかりチェックし、泌尿器科か外科に

――自覚症状として、どういう状態なら心配したほうがいいでしょうか

「ジャンプしたり、腰をたたいてもらってもいいんだけど、そんな『儀式』が終わったら自分の目で睾丸をしっかり見ることが大事。腫れあがっていたり、内出血して紫色になっていたりしたら、すぐに病院に行く必要があります。翌日に腫れあがる可能性もあるので、次の日もしっかりチェックしてあげてください」

――病院では何科に行けばいいんですか

「泌尿器科か、外科です。今はエコー検査で出血の状況がすぐに分かるから、エコー検査ができるところがベストです。まずは電話をして、睾丸をぶつけちゃったけど診てもらえますかって、ちゃんと確認した方が安心だと思います」

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睾丸が子どもの顔の大きさに