阪神は守備重視でポジションを固定
複数ポジションを守ることと打撃成績の因果関係を実証することは難しいが、阪神は主力選手たちの守備位置を固定したことで昨年はリーグ優勝し、38年ぶりの日本一も達成した。「不動の4番」大山は打率.288、19本塁打、78打点をマークし、最高出塁率(.403)のタイトルを獲得した。佐藤も7月までは状態が上向かなかったが、8月以降は打率.330、12本塁打、45打点と首位快走の原動力になった。今季は前半戦に大山、佐藤が打撃不振でファーム降格を味わったが、守備位置は変えていない。
阪神を取材するスポーツ紙記者はこう語る。
「岡田監督は守備を重視しています。大山、佐藤の守備位置を固定し、中野拓夢を遊撃から二塁にコンバートして、遊撃の木浪聖也と強固な二遊間を形成しました。勝負所で明暗を分けるのは守備のミスです。不慣れなポジションを守ると、ほころびが出るリスクが高まる。優勝するチームは守備が強固なことが共通している」
巨人が正捕手格の岸田、打撃の状態が上がっている坂本、5番で機能している大城を同時に起用するためには、岡本が左翼で出場することになる。阿部監督は今月8日の広島戦で、大城を14試合ぶりに捕手で起用し、左翼で4試合連続出場していた岡本を一塁に回した。試合は防御率0点台と抜群の安定感を誇る相手先発・大瀬良大地から0-0の七回に一挙5得点を奪って快勝。岡本も四回に左翼線二塁打を放った。
各チームの指揮官は、優勝を目指して様々な判断をしている。岡本が3つのポジションをこなし、打棒も爆発させる難しいミッションを果たすことで、巨人の4年ぶりのV奪還が近づくだろう。
(今川秀悟)