今年1月の契約更改後、色紙に「優勝」と書いた佐々木。会見では「将来的にメジャーでプレーしたい思いはある」と語った

 この試合にはメジャーの数球団が登板視察に訪れていた。映像で投球内容をチェックするという西海岸の球団編成担当は「佐々木の今オフの動向を注視している」と語る。

 佐々木の置かれた立場を考えると、今オフのメジャー挑戦は現実的な話ではない。入団以来2ケタ勝利、規定投球回数を達成したシーズンが1度もなく、今季も10試合登板で投球イニングは64回2/3。6勝2敗、防御率1.95という数字は立派だが、登板数、投球イニング数が少なすぎる。ポスティングシステムは、球団が実績を積み重ねた選手の貢献度を認めなければ実現しない。メジャーリーグの「25歳ルール」によって、現在22歳の佐々木はマイナー契約からのスタートとなるため、球団にとってメリットが薄いという事情もある。

メジャーの先発はケガのリスクが大きい

 将来のメジャー挑戦を公言している佐々木が「現段階で行くべきではない」と言われている理由は、ロッテに恩義を果たしていないという理由だけではない。

 メジャーで過去にプレーした選手が語る。

「米国はボールの大きさ、滑り具合が日本と違うので、肘や肩に大きな負担が掛かる。千賀滉大(メッツ)、山本由伸(ドジャース)が右肩の故障で離脱しましたが、先発ローテーションで回る投手は日本に比べて登板間隔も短いのでケガのリスクが上がる。佐々木は度重なる故障やコンディション不良で毎年のように離脱しています。日本でシーズンを通して投げられていないのに、メジャー挑戦は時期尚早です」

 メジャーで一流と呼ばれる投手は、球の速さ、変化球の精度、制球力など投球の質が高いだけではない。体が強いことが成功の条件とされている。その第一人者が、ドジャース、ヤンキースで計79勝をマークし、広島に復帰後日米通算200勝をマークした黒田博樹氏だ。

 メジャーに挑戦した時は33歳でベテランと呼ばれる域だったが、目を見張るほどタフだった。メジャーでプレーした7シーズンで規定投球回数に到達しなかったのは1度のみ。5年連続2ケタ勝利を挙げ、3シーズンで200イニング以上をクリア。先発の中心的役割から離脱しなかったことで、首脳陣から絶大な信頼を寄せられた。

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メジャーの代理人が語る佐々木獲得の「メリット」とは