AERA 2024年6月3日号より

「借り換えとなると金融機関にもよりますが、ローン総額の2%以上の手数料がかかるなど負担が大きい。そんな時に一つの手として考えたいのが金融機関を変えずに行う『10年固定』への金利タイプの変更です。現在は年1%程度で借りられる場合もあります。負担が借り換えほど増えないため、10年のうちに生活費の見直しなど家計の立て直しに注力できます」

 住宅ローン比較診断サイト、モゲチェックを運営するMFS取締役の塩澤崇氏は、「今の時代は変動型が有利」を持論とするが、どうしても変動型がイヤなら期間固定型の検討を勧める。

「変動金利で借りるのは、返済額が少ない分を運用に回したりして資産形成に励んで金利上昇に備えるのが本来セットなんです。そうしたうえで変動型が怖いとなれば、固定型を選ぶ以外にありません。しかし、それは全期間固定の必要はなく、元金が多く残っている時期にリスクヘッジができればいいので、20年固定で十分ではないでしょうか。返済がある程度進んでいれば10年固定でもいいと思います」

「住み替え」視野の人も

 10年固定と違って次の見直しまで猶予期間は短くなるが、ほかにも当面をしのぐ手はある。

「125%ルールがあるローンなら、それを適用した金額を『最低目標値』にするのも一つです。現在の返済額の1.25倍を返せる家計にできれば次の5年は乗り切れるからです」(中里氏)

 では、今の返済でギリギリで、今後増える教育費などを考えると金利上昇に耐えられそうもない家計は、どうすればいいのか。

「住み替えを視野に入れた方がよい場合もあります。やりくりに苦しむより今の家に固執しないことも大切です。不動産市況は悪くないので、今なら残債よりも高く自宅を売却できる可能性があります。返せなくなって自己破産すれば、将来にわたって家計や生活にマイナスの影響を与えかねません」(同)

 このように対処法を検討しておけば、実際に金利が上がってもあわてずにすむのではないか。まさに「備えあれば憂いなし」。変動型で借りている人は、「今」がその時だ。

(編集部・首藤由之)

AERA 2024年6月3日号

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首藤由之

首藤由之

ニュース週刊誌「AERA」編集委員。特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー(CFP🄬)。 リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の記事を執筆している。 著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー 習慣』。

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