住宅ローン金利を決める金融機関の判断に注目が集まる
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日銀は31日、金融政策決定会合で、政策金利の追加の引き上げを決めた。政策金利に位置づける無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.25%程度にする。気になるのは住宅ローンの金利への影響だ。変動型で借りている人は多いが、その仕組みを正しく理解いているだろうか(この記事は、2024年5月28日に配信した内容の再掲載です。年齢や肩書等は配信時のまま)

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 日本銀行の「利上げ」が注目される中、気になるのが住宅ローン、特に変動金利への影響だ。だがその仕組みを詳しく知らない人が実は多い。ローンを組んでいる人も検討中の人も、現状を知ってこれからに備えよう。AERA 2024年6月3日号より。

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「5月は住宅ローンの金利を解説するセミナーが多かったです」

 こう話すのは住まいのお金専門のファイナンシャル・プランナー(FP)、有田美津子さんだ。

「日銀のマイナス金利解除でローン金利の上昇が取りざたされているので、関心が高まっているからでしょう。本来はこれから借りる人のセミナーなのですが、このテーマだとすでに借りている人もお見えになります」

「すでに借りている人」には共通項があるという。皆、「変動型住宅ローン」を抱えているのだ。

 住宅ローンには主に固定型と変動型の2種類がある。固定型は借りている間、金利が変わらず一定だが、変動型は文字通り変動する。

「あわてて勉強し直しに来ていらっしゃるのですが、あまりわかっておられない方がほとんどです。不安を感じてお見えになっている感じです」(有田さん)

 実際、一部銀行が5月から住宅ローンの金利を上げた。変動型で言えば共にネット銀行で、住信SBIネット銀行が基準金利を0.1%引き上げ、楽天銀行も同0.08%上げた。

 日銀は夏にも政策金利をもう一段引き上げるとみられており、多くの銀行がそのタイミングで変動型の金利を一斉に引き上げるとされる。いよいよ本格的な金利上昇時代が始まるのだ。

 これからローンを組む人は、借入額を減らしたり物件レベルを落としたりするなど対策が取れるが、すでに借りている人はそれができない。だから、変動型を借りている人こそ自分のローンを総点検する必要がある。

「まずは自分が借りているローンの仕組みを理解することでしょうね」(同)

金利が決まる「構造」

 それには基礎から理解を深めたほうがいい、という。そもそも、日銀の利上げがなぜ変動型の金利上昇につながるのか。

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首藤由之

首藤由之

ニュース週刊誌「AERA」編集委員。特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー(CFP🄬)。 リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の記事を執筆している。 著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー 習慣』。

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