ヤクルトの山田哲人
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 巻き返しを狙うヤクルトで、逆襲のキーマンが山田哲人だ。今季は下半身のコンディション不良で2度戦線離脱するなど、63試合出場で打率.202、7本塁打、21打点(7月30日現在)。7月28日の広島戦で5回にバックスクリーンへ7号同点ソロを放った際は、神宮球場が大きな盛り上がりに包まれた。ただ、満足できる成績には程遠い。今季は打撃で好調の時期が長続きせず、盗塁もゼロ。最近は7番を打つことが多い。

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「下半身で踏ん張りがきかないから、引っ張った打球が失速する。体を鋭くスピンさせて強い打球を打つのが山田の特徴ですが、今は全盛期の姿には程遠い。スピードが持ち味なのに、体が重そうでキレがない。二塁の守備範囲も狭くなっています。技術は間違いなく球界トップレベルなので、コンディションを取り戻すことが復活のカギになると思います」(ヤクルトの球団OB)

 チームメート、コーチ、対戦した他球団の選手は山田を「天才」と称する。決して過大評価ではない。史上唯一のトリプルスリー(打率3割、30本塁打、30盗塁)を3度達成。プロ野球90年の歴史で2度達成した選手がいない中、歴史的偉業であることは間違いない。

「外れ外れ1位」から4年で開花

 ヤクルトにドラフト1位で入団時は、そこまで注目度が高いわけではなかった。斎藤佑樹(元日本ハム)、塩見貴洋(楽天)のクジを外して指名された「外れ外れ1位」。履正社高で長打力が魅力の「高校№1遊撃手」という触れ込みだったが、守備で送球が安定していなかったことからプロ入り後は二塁手に回った。

 しかし、規格外の怪物に大化けした時期は早かった。プロ4年目の14年に打率.324、29本塁打、89打点と開花。この年、日本人右打者のシーズン最多安打記録となる193安打を積み重ねた。ここから伝説が始まる。

 15年は打率.329、38本塁打、100打点、34盗塁で自身初のトリプルスリーを達成。日本シリーズでは史上初の1試合3打席連続本塁打を放っている。本塁打王と盗塁王を同時に獲得したのも史上初だった。

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対戦したセ・リーグ投手は「大谷より天才」