天才だから修正方法がわからない?
球界を代表する選手として常人離れしたパフォーマンスを見せていたが、陰りが見え始めたのが20年だった。上半身のコンディション不良に苦しみ、94試合出場で打率.254、12本塁打、52打点、8盗塁と激減した。21年には34本塁打、101打点をマークしたが、4盗塁のみ。年齢を積み重ねると共にパワーヒッターに進化していくのは自然なキャリアと言えるが、22年は打率.243、23本塁打、65打点、10盗塁。昨年は打率.231、14本塁打、40打点、4盗塁と下降線をたどり、復活を期した今季も苦しんでいる。
ヤクルトでかつて共にプレーした選手はこう話す。
「あいつは天才です。だから若い時は感覚でやっていた部分もあると思う。今は打った瞬間に本塁打だと思った打球が、失速して外野フライになる。悪くなった時にどう修正していいか分からない部分があるんじゃないですかね。責任感が強いのでチームが低迷していることも背負っている感じがします。個人的にはキャプテンを外して伸び伸びやらせたほうが、復活するんじゃないかなと思います。レギュラーを確約しないほうが、闘志に火がつく。ああ見えて負けず嫌いですから。まだ32歳なので限界を感じる年齢ではありません。村上宗隆が早ければ25年オフにポスティングシステムでメジャーに挑戦しますし、哲人がまだまだ活躍してもらわなければ困ります。若返りでとって代わられるレベルの選手ではないですし、意地を見せてほしい」
FA権を取得して去就が注目された20年オフに7年契約を結んだため、27年までヤクルトでプレーする。長期契約を結んだ選手が活躍できず、不良債権と化すことは本意ではないはずだ。天才打者はもう一度輝きを取り戻せるか。
(今川秀悟)