長く1軍のマウンドから遠ざかっている青柳
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 リーグ連覇を目指し、後半戦で大型連勝を狙いたい阪神。その先発ローテーションの中に青柳晃洋がいない。

【写真】昨年のMVPながら開幕投手になれなかったのはこの投手

 昨年に続き、今季も2年連続で開幕投手を務めたが、不安定な投球で3度のファーム降格を経験。6月1日に登録抹消されると、2カ月近く1軍のマウンドから遠ざかっている。

「ボール球先行の投球でカウントが苦しくなり、痛打される場面が目立ちます。昨年8勝止まりにもかかわらず、岡田彰布監督はシーズンMVPに輝いた村上頌樹でなく、青柳を開幕投手に指名しました。期待は大きいですが、ファームでの登板でも試行錯誤が続いている。復活してほしい投手であることは間違いないのですが……」(在阪スポーツ紙デスク)

日本一の昨年は不完全燃焼

 21、22年と2年連続最多勝をマーク。とくに22年は13勝4敗、防御率2.05で最優秀防御率、最高勝率(.765)と「投手3冠」に輝いた。山田哲人(ヤクルト)、坂本勇人巨人)、宮崎敏郎(DeNA)ら右の強打者に相性が良く、マウンド上の表情は自信に満ちあふれていた。

 エースの地位を築いたかに見られたが、昨年は8勝6敗、防御率4.57と不本意な結果に。オリックスと対戦した日本シリーズ7戦目で先発してチームの38年ぶりの日本一に貢献したが、不完全燃焼だった。巻き返しを誓った今季だが、8試合登板で1勝3敗、防御率3.83という成績だ。

 他球団のスコアラーはこう分析する。

「課題だった制球力が改善されてタイトルを獲得しましたが、青柳の一番の武器は球威十分の直球です。球速表示は145キロ前後と速くないですが、変則的なフォームから右打者の懐に食い込んでくるような軌道で、球速表示以上の威力があるので打者が差し込まれる。今はコーナーを丁寧に突こうと考えるあまり、直球の強さが失われて変化球も見極められるようになっている。もっとアバウトに腕を振ってストライクゾーンにどんどん投げこまれた方が厄介ですね」

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