綱川明美さんへのインタビューの様子。聞き手は編集長の鎌田倫子(撮影/写真映像部・松永卓也)

――今は隠していません。心境がかわったのでしょうか。

 綱川:こんなにかわいい子供を隠しておきたくない、と心境の変化がありました。子どものパパとは別れてしまったので、ひとりで育てています。

 ほとんど誰にも伝えないままこっそり出産しました。妊娠しているときはまだコロナ禍でしたから、リモートで仕事が回るので対面で会う機会も少なく、意外と気づかれなかった。

 でも、生後4カ月くらいのときに、リモート全社会議で子どもが泣いてしまったんです。赤ちゃんを育てていた社員たちが、「うちじゃない」「うちじゃない」と否定して、「じゃあ誰?」となった。そのとき、隠しきれず子どもを抱いて「ジャジャーン!」と画面に映したのです。みんな青ざめてシーンとなっていましたけど。

 ――投資家の方々はどのような反応でしたか。

 綱川:一番お世話になっている投資家さんには生まれた後で伝えると、とても喜んでくれました。次に、他の投資家さんに明かすと「ショックで、衝撃的で、夜眠れなかった」と言われました。ベンチャーキャピタルとの定例で、社内会議同様息子が泣いたため、「ジャジャーン!」と子どもをみせたら、「どっと疲れた」という反応でした。

 やっぱり隠しておいた方がよかったのかな、とも思いましたが、今はFacebookやXにも子どもを登場させているので、みんな知っていると思います。特に何か言われることも、聞かれることもないですね。出産後の方が会社の業績が良いので。

 出産後も休まず、出産前と同じような働き方をして、出張も帝王切開2週間後には行ってました。その年の売り上げは前年の2.5倍くらいでした。

 ――それだけ数字を作っていたのであれば誰も文句は言えないです。でも、世間一般では真似できないし、おススメする働き方ではないですよね。

 綱川:たしかに、次にそういう機会があったら、私も休みたいですね。妊娠がわかってから休むまでに9カ月あるわけですから、私が休んでも回る体制をつくります。今すぐ休むには体制が整っていませんが、9カ月後だったら準備ができます。

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自信は何に使うんですか?