なお、東京五輪では、シンガポールは金メダルを獲った選手に100万ドル(約1億5000万円)を支払うと公表し、チャイニーズタイペイは重量挙げ女子59キロ級で金メダルを獲得したグオ・シンチュンに約71万6000ドル(約1億1000万円)を授与すると発表していた。今回も公にはしていないものの、ここでトップとして紹介したセルビアよりも報奨金を選手に与える予定の国やオリンピック委員会もありそうだ。また、メダリストだけではなく、ドイツやモロッコについては4位以下となった選手にも順位に応じて報奨金を支払うという。

 だが、こうしたメダルに対しての報奨金については“賛否”もある。もともと五輪は金銭的な報酬を排除し、出場する選手もアマチュアに限定されており、経済的な利益を目的としないという理念があったからだ。

 特に世界陸連が新設した報奨金については、国際競技団体として初の試みであり、出場する競技によって受け取る報酬に違いが生じるのは“不公平感”が出てしまうという懸念もある。

 東京五輪で英国代表として2つの金メダルを獲得した競泳のトム・ディーンは「競技はスポーツへの愛があるからこそやっている。私たちは英国を代表してメダルを獲得することを目標としている」としながらも、今回の世界陸連の報奨金の制度については、「他の競技の選手たちが彼らのパフォーマンスによって金銭的なリターンがあるというのは気分が良いとはいえない」と同国の大衆紙『デイリー・ミラー』に語っている。英国は報奨金を用意しておらず、同じ金メダルでもお金を得る人、得られない人で分かれてしまうというのは選手にとってつらい部分もあるだろう。

 毎回、冬季五輪も含めて報奨金が話題になることは多いが、今回は世界陸連が新たな試みを始めたことで、さらに「五輪とお金」というものが注目されそうである。

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