今年の夏に開催されたパリオリンピックで、日本は45個のメダルを獲得しました。日本のメダル獲得数はこの半世紀で増加傾向にありますが、その男女比はどのように変化しているのでしょうか? スポーツ界の女性進出やその要因について、スポーツジャーナリストの生島淳さんが解説します。小中学生向けのニュース月刊誌『ジュニアエラ2024年11月号』(朝日新聞出版)からお届けします。
【52年前と比較】夏季五輪の日本のメダル獲得数(男女別)メダル数の男女比からわかる「スポーツ界の女性進出」
パリオリンピックで日本は金メダル20個を獲得して、アメリカ、中国に次いで3位の結果を残しました。金銀銅のメダル総数は45個で、総数では6位。期待を上回る成績だったと評価していいでしょう。
この45個のうち、女性がどれだけメダルを獲得したか、ご存じでしょうか? 内訳は男子が23個、女子が18個、そして男女混合種目で4個のメダルを獲得しました。この数字は、スポーツ界における女性の進出の表れといえます。
では、これを52年前に行われたミュンヘン大会と比べてみます。ミュンヘンで日本は金13、銀8、銅8という結果でしたが、このうち女性のメダルは何個だったでしょう? 競泳女子100mバタフライの青木まゆみの金と女子バレーボールの銀、この二つだけでした。男子27、女子2。これが52年前の日本のスポーツ界の姿です。
なぜ、これだけ増えたかというと、半世紀の時をかけ、スポーツ界が女性のプレー環境の整備を進めたことが挙げられます。たとえば、女子柔道がオリンピックの正式競技に採用されたのは1992年のバルセロナ大会、女子レスリングは2004年のアテネ大会からでした。パリ大会ではこの両競技で女子は8個のメダルを獲得しています。
また、ブレイキンや、スケートボードといったアーバンスポーツでの女子の活躍が目立ったのも日本の特徴です。さまざまな競技が選択でき、それが世界へとつながっている。それは日本のスポーツにおける豊かさを示していると思うのです。
〇解説/生島淳(スポーツジャーナリスト)
ジュニアエラ編集部