――その後も野球では波瀾万丈でしたが、セカンドキャリアで過ごしたサラリーマン生活はいかがでしたか。

 父に恩返ししたいという思いで入社しましたが、モチベーションで苦しんだ部分は正直ありました。プロ野球で経験した刺激を社会に出ると味わえない。もちろん仕事には全力で打ち込んでいましたが、物足りなさは感じていました。自分は夢中になったことに情熱を注げる性格であることは分かっているので、新たな世界に挑戦したいと思いました。

佐藤隆彦さん(撮影・平尾類)

会社を辞めることに妻は「ウソでしょ?」

――社員からステップアップして副社長となり、お父さんの後を継いで社長になると思っていました。退社を決断した理由を教えてください。

 会社を継ごうという使命感はありました。実際にどういう会社にしたいか、将来の方向性を巡って父とぶつかって。「会社を辞めて外の世界を見ろ」と言われ、5度目の“戦力外通告”を受けました(笑)。ただ、自分の中で迷いはあったんですよね。「一回きりの人生これでいいのか」「今の仕事は本当にやりたいことなのか」と少し前から自問自答していて。本気でやらないと1000人いるグループの従業員にも失礼じゃないですか。人生を懸けてやらないと成功しない。相談した人たち全員に「絶対に辞めるな、もったいない」と言われました。

 確かに売り上げ180億円、営業所などが20カ所以上ある会社で副社長というのはありがたい立場です。でも、自分が納得する人生を送りたくて。妻は「ウソでしょ?」と驚いていましたが、「あなたは必ずやると言ったことをやり遂げる男なので、信じてついていきます」と言ってくれました。父とは連絡を取ってないですね。関係は良くないです。時が来れば……って感じですかね。

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