都内の女性(48)が、中学3年の長女と一緒に考えたスマホ使用のルール。「特に中学段階では、大人が適切に関わる必要があると思います」(写真:本人提供)
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 スマホが生活で当たり前に使われる中、懸念されるのは子どもたちの「SNSトラブル」だ。トラブルから守るには「保護者の役割が大きい」と専門家は指摘する。トラブルが起こりやすい夏休みに、被害者にも加害者にもならないために必要なことは何か。AERA 2024年7月29日号より。

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 子どもたちをSNSトラブルから守るにはどうすればいいか。

 元中学校教員で、スマホやネットの問題点について研究する甲南女子大学文学部講師の冨田幸子さんは「ベースとなるのは親子関係」と強調する。

「そもそも、児童期から思春期の子どもの一部はSNSに潜む危険性を十分に判断する力が弱く、SNSでの被害を軽く見てトラブルに巻き込まれます。トラブルは、子どもだけで解決しないことが多くあります。スマホは友だちとの交流や人間関係の構築、学習にも役立ち、これからの社会には必要不可欠な道具ですが、リスクもあることを家庭や学校の授業で子どもにしっかり教えることが大事です」

 都内在住の学校職員の女性(48)は子どものSNSデビューに合わせ、子どもと一緒に使用ルールを定めた。

 いま中学3年生の長女が中学校に進学した際、部活動の連絡でスマホが必要となり買うことにした。その際、長女と一緒に使用ルールを決めた。

 以前、女性は月刊誌の記者として教育記事を主に担当していたためスマホの危険性について知識があった。子どもとスマホなどのトラブルに関するニュースもこまめに追っていたことなどから、子どもにスマホを持たせる際は大人が適切に関わる必要があると考えていた。長女自身、ゲームの依存性を認識していたので、本人も納得してルールを決めていったという。

 その結果、「一日の使用時間は15分」「使うのはリビングのみ」「会ったことのない人とはつながない」などと決め、ルールを紙に書いて台所近くのスマホ充電器の近くに置き、目に留まりやすいようにした。そして、親の義務として、長女のスマホに有害なサイトなどを遮断するフィルタリングと、使用時間を制限できるペアレンタルコントロールを設定した。

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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