「注目度が高い選手であることは間違いありません。ただ、22年の時と比べるとインパクトは落ちています。メジャーで一、三塁手のレギュラーを張るにはパワーヒッターとしての活躍が求められます。日本人野手は投手ほど活躍している選手が多くないので、メジャーで市場価値が高いとは言えない。タイプ的には同じ左の長距離砲の筒香嘉智(DeNA)と重なります。好条件でメジャー球団との契約を勝ち取れるかは、今後の活躍が重要です」
少ない活躍中の日本人野手
メジャーでプレーする日本人選手で、ダルビッシュ有(パドレス)、山本由伸(ドジャース)、今永昇太(カブス)、菊池雄星(ブルージェイズ)を筆頭にチームの中心で活躍する投手は多いが、野手は少ない。今季は打者に専念して三冠王を狙える位置につけている大谷翔平(ドジャース)は別格として、鈴木誠也(カブス)が55試合出場で打率.263、9本塁打、29打点と活躍するが、後が続かない。
吉田正尚(レッドソックス)は35試合出場で打率.240、2本塁打、13打点と、昨年に比べて出場機会が減少し、成績も落ちている。DeNAで16年に44本塁打、110打点で2冠に輝き、侍ジャパンで4番を務めた筒香嘉智も、米国での成功を夢見て20年からプレーしたが、メジャー通算打率.197、18本塁打、75打点と厳しい結果に。昨年はメジャー昇格が叶わず、今季もジャイアンツ傘下でメジャーを目指したが3月下旬に自由契約になり、4月中旬に古巣のDeNAに復帰した。
米国に駐在する通信員は、日本人野手がメジャーで成功する難しさを語る。
「パワー、スピードと身体能力の点で日本人選手はどうしても劣ってしまう。ヤンキースで活躍した松井秀喜さんも日本ではホームランバッターでしたが、メジャーでは中距離打者にシフトしました。現在は長打力が重視される指標となっているのである程度の本塁打数を打てないとレギュラー定着は厳しい。意外にフォーカスされていませんが守備能力も重要です。吉田がレギュラーを剥奪されたのは、長打力に物足りなさが残ることのほかに、外野の守備範囲が狭く肩が弱いことがネックになっています。村上は三塁の守備が巧いとは言えない。岡本和真(巨人)の評価がメジャーで高いのは打力だけでなく、一塁、三塁のほかに外野もそつなくこなせることです。ヤクルトのチーム事情もあって難しいでしょうけど、村上は外野も守れることを示せば評価はさらに上がると思います」