2022年のシーズン最後の試合で王貞治氏の記録を抜く56号を打った村上

「日本で王さんの記録を塗り替えて」

 村上にはメジャーで世界に通用する長距離砲として活躍してほしいが、別の見方もある。

 村上は5月15日の広島戦で9号右越えソロを放ち、史上最年少の24歳3ヶ月で通算200号ホームランを達成。92年に清原和博(当時西武)が記録した24歳10か月を塗り替えた。直球の球速が150キロを超える投手が急増し、変化球の精度も一昔前より格段に上がっている。その中で本塁打を打ち続けていることは大きな価値がある。

 民放テレビ関係者は、「日本でプレーして王貞治さんの通算868本塁打を塗り替えてほしい」と期待を込める。

「メジャーでプレーしたい選手が多い中で時代錯誤の考え方かもしれませんが、村上は王さんの本塁打記録を塗り替える可能性を秘めた強打者です。メジャーでプレーしていなくても日本球界で金字塔を立てた選手はたくさんいます。チームメートの山田哲人はトリプルスリーを史上初の3度達成していますし、坂本勇人巨人)は通算3000安打の記録にどこまで近づけるか注目されています。村上も落合博満さんのように何度も三冠王を獲得して、NPBで伝説の打者になってほしいです」

 村上は責任感が強い選手だ。打撃で試行錯誤を続ける中でも大黒柱として、チームの勝利に貢献しようと必死にプレーしている。6月22日の巨人戦では、0-0で迎えた8回2死三塁の好機で打席に入ると、変則左腕・高梨雄平から遊撃に大きく弾むゴロを放つと一塁にヘッドスライディング。執念で内野安打をもぎとり、三塁走者が生還。この一打が決勝点となった。

 チームは借金8で最下位に沈むが、セ・リーグはまだ混戦状態。ここから上位に突き放されず、借金を完済して優勝争いに絡めるか。そのためには村上の打棒爆発が不可欠だ。

(今川秀悟)

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