現地で取材する通信員は、現場の反応をこう語る。

「ストライクゾーンをかすめれば、ミットで捕った位置がボールでもストライクと判定される。正直、最初は打者が戸惑っていました。ただ機械の判定なので文句をつけようがない。これから機械の精度がさらに上がっていくと思います。明らかなメリットは試合時間が速くなることですね。審判は一瞬の間を開けて判定する時がありますが、ロボット審判は機械的に一定のリズムでコールしますから」

パワーピッチャーばかりになるおそれ

 ロボット審判がNPBに導入されたら、劇的に野球が変わる可能性がある。ただ、現役時代に技巧派投手で活躍したプロ野球OBは「絶対に反対ですね」と語気を強める。

「野球の醍醐味は打者との勝負だけではありません。審判のストライクゾーンの傾向をつかんでギリギリのコースを突くのも投手の技術です。機械の判定が導入されたら、変化球投手はきついですよ。厳密にはボール球でもストライクと見せる投球術が生かせない。ストライクゾーンに速い球を投げられるパワーピッチャーばかりになり、日本野球の良さである緻密さが失われてしまいます」

 得点が入らない、本塁打が出ない要因は一つではないだろう。ただ、ファンの「野球離れ」を防ぐためにも、この問題に真正面から向き合う必要があるだろう。

(今川秀悟)

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