「家族からの理解も大事です」と語る八重野さん。妻は元同僚で、ともに天草に調査に行った間柄(撮影/編集部・井上有紀子)
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「会いたい人に会いに行く」は、その名の通り、AERA編集部員が「会いたい人に会いに行く」企画。今週は50年お宝を探している人に、埋蔵金が気になる記者が会いに行きました。

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 トレジャーハンターの八重野充弘さんは、埋蔵金や歴史に埋もれたお宝を探している。お宝を探して50年。宝探しって、なんだかワクワクするのはなぜだろう。

 八重野さんが宝探しと出合ったのは、26歳の頃。出版社で、雑誌のネタ探しをしていて、天草四郎の伝説を知った。島原の乱を戦った天草四郎が、軍資金を隠したという伝説だ。調べると、幕末に江戸で発見された古文書に、お宝は「三角池に沈められている」と書かれていた。その古文書に登場する地名は、実在していた。これは信憑性がある、と本に取材に向かった。だが、三角池は見つからない。残念だったが、記事は完成。宝探しはそこで終わるはずだった。

 東京に戻って、2カ月後、忘れた頃に電話が鳴った。

「三角池が見つかったぞ」

 取材に協力してくれた友人らが、調査を続けていたのだ。

 天草四郎の軍勢が通過した道のそばに、三角形のくぼ地があり、そこに「名もなき小さな池」があった。昔は大きな池で、旅人は湧き水を飲んで一休みしたと言い伝えられていた。軍勢が通った跡で、かつ三角形の池。「もしかしたら」と、今回は東京の同僚たちも呼んで、熊本に行った。

 水草を鎌で刈り、黙々とスコップで掘った。スコップの先がガツンと何かに当たると「何かあるぞ」と盛り上がった。だが、収穫はゼロ。

 もっと手掛かりはないか、文献を調べ始めた。

「貧しいキリシタン農民が、やむにやまれず起こした一揆といわれていますが、裏があったんじゃないか。一揆の中心は旧領主でキリシタン大名だった有馬晴信と小西行長の家臣たち侍です。幕藩体制が完全に確立してなかった時代、西の外様大名の勢力を結集すれば、反徳川勢力を作れたんじゃないか。キリスト教は身分の格差がない教えです。民衆と支配階級との格差が少ない世界を目指したのかもしれません。クーデターの軍事予算だと考えられなくもない」

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