石見陽さん(いわみ・よう)/1974年生まれ。信州大学医学部卒。メドピア代表取締役社長、CEO(医師・医学博士)(写真:本人提供)
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 医療AIの発展により、今後、医療はどう進化するのか。医師向け情報サイト「MedPeer(メドピア)」を運営するメドピアCEO・石見陽氏が、AIの未来について語った。AERA 2024年6月17日号から。

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AERA 2024年6月17日号「医師676人のリアル」特集より

AIが医師の負荷を軽減し患者とのギャップを埋める

 画像解析などをもとに診断を支援するAIは既に多くの現場に導入され、専門医でも発見が難しい小さな病変を見つけ出すことに役立っています。普及が進めば、一般医が担う検査の質の向上に貢献すると期待しています。対話型で診断を支援するシステムも今後普及するでしょう。

 隆盛が予想されるAIは、業務の負担軽減につながるものです。医師の働き方改革が進んでいますが、現場では電子カルテの記録や診断書の作成など、書類業務がかなり多い。ここを担ってくれるAIが多く登場してくるはずです。

AERA 2024年6月17日号「医師676人のリアル」特集より

 また、一般社会では動画、写真、テキスト、音声をすべて統合して会話できるような生成AIが既に登場しています。こうしたシステムを活用し、医師の教育やトレーニングに使うシステムも出てくるかもしれません。

 患者との情報ギャップを正しく理解し、かみ砕いて伝えるコンサルテーション能力は、今後、人間の医師側により強く求められるようになるはずです。AIの台頭により医師の存在がいらなくなることはないと考えますが、人間にしかできない部分により重きが置かれるようになるでしょう。

(編集部・川口穣)

AERA 2024年6月17日号「医師676人のリアル」特集より

AERA 2024年6月17日号

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川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

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