(3)若者へしっかり啓蒙する

 若者たちに当事者意識を持たせることは、とても重要だ。このような啓蒙は、マネジャーに任せてはいけない。場合によっては外部の専門講師などに頼んで定期的に啓蒙するのだ。

 1年に1回や2回の啓蒙では、何も残らない。私どもコンサルタントも、粘り強く啓蒙する。若者たちは、ベテラン社員が信じているよりもずっと素直だ。ベテランのマネジャーたちにも、しっかり啓蒙する。

「子離れ」が必要な親と同じように、マネジャーも「部下離れ」が必要だ。「私がいないと、部下は何もできない」などと思い込まないようにすべきだ。背負い込めば背負い込むほど、次世代のマネジャーのなり手がいなくなるからだ。

粘り強い組織改革からは避けられない

 このように、出世したくない社員が増えている背景には、マネジャー職の役割の曖昧さ、若手社員の育成の難しさ、不確実性の高い時代における目標達成のプレッシャーなどがある。

 最後にワンポイントアドバイスを伝えておく。

 それは、特効薬などないということだ。ベンチャー企業ならともかく、歴史のある組織なら環境要因がとても大きい。組織文化を変えるぐらいの気持ちで、粘り強く啓蒙していくことが重要だ。

(横山 信弘 : 経営コラムニスト)

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