(1)マネジャーの定義をハッキリさせる
前出した通り、マネジメントとはリソースの効果効率的な配分である。企業はまず、マネジャー職の役割を明確にする必要がある。「ヒト・モノ・金・情報・時間」といったリソースを効率的に配分することで目標達成させることがマネジャーの仕事である、ということをハッキリさせる。
メンバーシップ型雇用が馴染んだ日本企業は、マネジャーにいろいろな仕事を押し付けている。責任の範囲が不明確なのが問題だ。たとえば部下というリソースに不足分があるのは、果たしてマネジャーの責任か。本人の責任かもしれないし、採用部門の責任かもしれない。ある企業ではマネジャー職の役割を定義して周知徹底させたことにより、マネジャー以外のメンバーの意識が劇的に変化した。このような例もある。
なんでもかんでもマネジャーの仕事ではない
(2)部下育成の責任範囲を明確にする
マネジャー職は、部下育成も求められる。しかし責任の範囲はどこまであるのか? 子どもの成績に関する責任でたとえてみよう。
私の感覚では、親と同じぐらいの責任だ。マネジャーは、学校の先生や予備校の先生のように「教える技術」を専門に学んでいない。自分自身も目標を持っているマネジャーが大半なのだから、親が子どもの勉強を見ていられないのと同じように、マネジャーも部下に付きっきりで教えることなどできない。
職人仕事ならともかく、そうでなければ自分自身で勉強して成長するのが基本だ。しかも小学生や中学生じゃない。社会人になっているのだから、自分の成長は自分で責任を持つのがあたりまえである。このように、責任範囲をしっかりと明確にしよう。そうすることで、確実にマネジャーの心の負担は軽減される。