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 ゆるくてもダメ、ブラックはもちろんダメな時代には、どのようなマネジメントが必要なのか。このたび、経営コンサルタントとして200社以上の経営者・マネジャーを支援した実績を持つ横山信弘氏が、部下を成長させつつ、良好な関係を保つ「ちょうどよいマネジメント」を解説した『若者に辞められると困るので、強く言えません:マネジャーの心の負担を減らす11のルール』を上梓した。

 本記事では、管理職になることを拒む会社員が増加している背景について解説する。

出世を望まない人たちはどれぐらいいるのか?

「課長になるぐらいなら、私は会社を辞めます」

「え??どうして?」

 出世するぐらいなら辞めると言いだす30代の社員がいた。とても優秀な社員だった。私どもの支援先で幹部候補と注目されていただけに、上司や役員たちは心底落胆した。

 ここ数年、出世したくない会社員が激増している。私が社会に出た頃(バブル全盛期)は、誰もが「24時間働けますか?」を合言葉に出世争いを繰り広げていた。なのに、なぜこんなことになったのか?

 組織として望ましいのは健全な競争があることだ。なのに「出世競争」など、まるで死語のようになってしまった。めっきり聞かなくなった。冒頭に記した「出世するぐらいなら辞める」と言いだした社員は、年収が1.3倍になると言われていた。にもかかわらず、

「課長になるぐらいなら競合他社に転職する」

 と言いだした。このような話を私はここ数年、いろいろな企業の経営者から聞いている。この傾向は各種調査結果からも、明らかだろう。

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