具体的にマネジメントとは何をすることなのか? それは、目標を達成させるため、リソースを効果効率的に配分することである。これがマネジメントの基本だ。単なるマネジメントに「組織」や「部下育成」は含まれない。

 セルフマネジメント(自己管理)、タイムマネジメント(時間管理)、リソースマネジメント(資源管理)、プロダクションマネジメント(生産管理)、ヘルスマネジメント(体調管理)……と同じだ。

 それぞれ個人でできるし、新入社員にも求められる。ここはとても重要なので繰り返すが、マネジメントは「リソースを効果効率的に配分すること」だ。課長や部長だけの仕事ではない。組織メンバー全員がやるべきことだ、ということを知っておいてほしい。

 つまり、こうだ。なぜ出世すると負担が増えると思い込むのか? 本人だけでなく、メンバーも全員がマネジャーの仕事を拡大解釈しているからだ。やらなくてもいい仕事まで背負い込み、自分の本来やるべきことができなくなるから「割に合わない」」と思い込むのである。

若手を育てる余裕がない

(2)若手を育てるのに苦労する

 口には出さないが、若手社員の育成が難しいと受け止めているマネジャー候補はとても多い。直属の上司が苦労している姿を見ると、「自分にもできるだろうか」と不安になるのもわかる。それよりも深刻なのは、他者視点よりも自分視点のほうに意識を向けている社員が増えていることだ。

「若い人には活躍してほしいが、自分だって安泰じゃない」

「イチイチかまっている暇はない」

 不確実性の高い時代になり、「もう自分の将来は安泰だから、あとは後進に道を譲るだけ」と思っている先輩社員はほぼいない。50代になってから焦ってはいられない。30代のうちに別業界でも活躍できるよう、日々スキルを磨かないと、と考えるのだ。

 しかも現代の若者は価値観や働き方に対する意識が多様化している。過去のやり方で期待通りに育つとは限らない。たとえば若手の中には、自分のペースで成長したいと考える者も多い。即戦力として期待されることにプレッシャーを感じるせいだろうか。このような状況で、マネジャーが若手を育成する責任を負うことは、大きな負担となる。

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