それが、「説明しても理解を得られないことやそれ以上の検査や治療を求める」(整形外科・スポーツ医学、40代、男性)という悩みにつながっているかもしれない。
本当に診ているのか
医師は説明しているつもりなのに、伝わっていない。コミュニケーションが成立していないというわけだ。細田医師は言う。
「家族の病歴はもちろんですが、職場の人間関係の悩み、ペットロスなど生活の背景も把握しなければ、患者を理解できません」
あるいは、おなかが痛くて下痢があるとき、「思い当たる節がありますか」と聞かれて、「昨日は生焼けのお肉を食べたからかも。家族も同じ症状がある」と自分の解釈を医師に伝えることができれば、話を聞いてもらえたと安心できるが、何も聞かれず、おなかも触られないで、「典型的な症状の胃腸炎です」と言われても、患者は「本当に自分を診ているのか」と思うと細田医師。
「患者さんの満足度が上がれば、医療訴訟率が下がり、医療費も下がると言われています。今の若い医師は『患者さんの話を聞きましょう』と医学部で学ぶそうで、患者さんの話を聞く傾向にありますから、話を聞く医師が増えていくのではないでしょうか」
(編集部・井上有紀子)
※AERA 2024年6月17日号より抜粋