イラスト:サヲリブラウン

 専門施設ではないので、できることは限られています。しかし、場所の特性から逆算して内容を考えれば、ボトルネックを取り除くことはできる。それ以上に、お芝居ができるわけなどなかった場所が、やり方ひとつでセットが最初から整った芝居小屋になる。

 欠点を利点に。ハードルをアドバンテージに。逆転の発想力に感銘を受けました。上演時間が1時間と短かったこと、そのまま感想戦になだれ込めたのもよかったです。

 できない理由とやらない理由は、挙げようと思えば無限に挙げられます。けれど、そこで終わってしまうことと、それを逆手にとって新しいものを見せることの結果には雲泥の差が。できる限り、私も後者でありたいものです。

AERA 2024年6月10日号

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ジェーン・スー

ジェーン・スー

(コラムニスト・ラジオパーソナリティ) 1973年東京生まれの日本人。 2021年に『生きるとか死ぬとか父親とか』が、テレビ東京系列で連続ドラマ化され話題に(主演:吉田羊・國村隼/脚本:井土紀州)。 2023年8月現在、毎日新聞やAERA、婦人公論などで数多くの連載を持つ。

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