野手へ転向して開花した代表といえる糸井嘉男

貧打の西武にも「打撃に定評ある投手」

 パ・リーグ球団のあるスカウトは、西武の山田陽翔の名を挙げた。

 近江高では甲子園に3度出場し、大会通算11勝は松坂大輔、島袋洋奨と並ぶ歴代5位タイ。打撃にも定評があり、高校通算31本塁打をマークしている。3年夏の甲子園3回戦・近江戦でバックスクリーンに放った満塁アーチは強烈だった。ドラフト5位で西武に投手として入団したが、前出のスカウトは「僕の評価は断然野手ですね」と言う。

「下半身のパワーを上半身と連動させ、スイングスピードが速いので思った以上に打球が飛ぶ。高めのボールをスタンドに運ぶ技術は教えられるものではない。打席に立った時に怖さを感じる選手はなかなかいません。キャプテンシーがあるし、野手としても面白いと思います」

 高卒2年目とまだ若い。投手として将来の先発ローテーション入りを目指すが、西武は若手の野手陣が近年伸び悩み、今季は深刻な貧打で最下位に低迷している。本人の意思もあるが、高い打撃センスを兼ね備えた山田を今後どう育成するか気になるところだ。

打者として20本塁打超の可能性

 セ・リーグのある編成担当が、「33歳という年齢を考えるとこれからの野手転向は厳しいですが、打者だったらどこまでいったか見たかった」と名前を挙げたのが阪神の秋山拓巳だ。

「西条高校の時から打球の速さ、飛距離がすごかった。もちろん投手としても評価が高かったですが、スラッガーはなかなか出てこない。プロの世界で打者として挑戦したら20本塁打超の打者になった可能性は十分にあると思います」

 秋山は2ケタ勝利を3度マークするなど先発ローテーションで活躍していたが、近年はファーム暮らしが長くなり、昨年は2試合登板で未勝利。今季はまだ1軍登板がない。

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野手転向で首位打者と盗塁王を取った選手は