1ドル=150円台半ばの水準で一進一退を繰り返している

「毎月の値動きを示す『月足』のロウソク足は、2015年6月を起点とするドル高・円安の長期サイクルはすでに8年を超えています。1987年以降のドル高・円安のサイクルは、約8年から9年で完了するパターンを示しています。つまり、そろそろピークに近い。さらに日米の金融政策に対する姿勢やファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を考えても、これまで続いてきた『円安シナリオ』は崩れつつあると言ってもいいんじゃないでしょうか」

 米国では4月の小売売上高や雇用統計、消費者物価指数など市場の予測を下回る指標が相次いだ。米国の物価の値上がりが落ち着きそうだとの見方が広がり、米国の中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会の早期の利下げ観測が強くなっている。さらに6月に発表される5月の雇用統計などでそうした見方が確認できれば、利下げへの確信はより強くなるという。

以前よりもはっきりと示すように

 日本でも、3月にマイナス金利政策を解除した日銀が追加利上げに動くとの見方が大きくなっている。自身の発言が市場に「円安容認」と受け止められ、ドル・円相場が一時1ドル=160円台まで進むきっかけをつくった日銀の植田和男総裁も、最近は為替の動向を見極める必要性を以前よりもはっきりと示すようになった。

 円安は輸入物価の上昇を通じて国内の物価の値上がりをもたらし、消費者の負担を重くしてきた。燃料や原材料を輸入に頼る企業の業績にも響く。一方で輸出関連企業にとっては追い風だ。円安・ドル高によって海外で稼いだ利益がかさ上げされるためだ。

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