ドラフト会議で人気になりやすいのは1年目から一軍で活躍できる可能性が高い“即戦力”と言われる選手である。しかしその一方で現時点では欠点は多くても、将来的な大化けが期待される“未完の大器”が高い評価を得るケースも少なくない。近年そのような評価でプロ入りした選手の現状は果たしてどうなっているのだろうか。
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2008年に統一ドラフトとなってからこのジャンルで最高の成功例と言えばやはり柳田悠岐(2010年ソフトバンク2位)になるだろう。広島六大学野球では圧倒的な成績を残していたが、3度出場した全日本大学野球選手権では4試合でシングルヒット2本と結果を残すことができずに終わっている。筆者も当時のプレーを見たが、高いレベルの投手の変化球には対応できておらず、最も目立っていたのはその脚力だった。
大学時代には近しいトレーナーに「プロになれるかもしれません」と話していたとのことで、本人も上位指名とは考えていなかったという。それでも1年目から二軍で13本塁打を放つと、3年目にはレギュラーに定着し、球界を代表する打者へと成長を遂げた。期待はもちろん大きかったと思われるが、ここまでの姿を想像していた関係者は少なかったのではないだろうか。
柳田と同じ地方の大学出身では山川穂高(2013年西武2位・現ソフトバンク)も大成功例と言える。下級生の頃から大学日本代表にも選ばれており、そういう意味では柳田よりも大舞台での実績はあったが、基本的にはファーストの選手であり、上位指名するには勇気がいったはずだ。中村剛也という成功例があったことが、西武にとっても山川にとっても追い風となったと言えるだろう。
今年になって大きな成長を見せている選手としては堀田賢慎(2019年巨人1位)が挙げられる。この年のドラフトは佐々木朗希(ロッテ)と奥川恭伸(ヤクルト)が目玉と見られており、巨人も最初に奥川を指名しながら抽選を外している。続いて宮川哲(西武1位・現ヤクルト)の抽選にも敗れ、いわゆる“外れ外れ1位”で指名したのが堀田だったのだ。