巨人から日ハムに移籍して開花した大田

 大田は日本ハムで素質を開花させたが、将来を期待された若手の成長株が1軍で目立った成績を残せず消えてしまうケースが少なくない。かつて、巨人でプレーした元選手は「ファーム慣れ」を危惧する。

「ファームにいてもサラリーマンより良い給料をもらえるし、立派な練習環境やトレーニング施設で不自由がない。1軍でプレーしなければいけない危機感を抱く選手は当然いますが、ファームの環境に慣れて向上心が見えない選手も出てくる。秋広にはそうなってほしくないです」

強打者の分岐点は4年目

 この元選手は、秋広について気になったことがあった、と続ける。
「1軍昇格した中日戦の前に、共に自主トレを行った中日の中田翔と20分話し込む姿が記事で報じられていました。アドバイスを受けていたのかもしれないが、巨人の首脳陣や選手たちがその光景を見てどう感じるか。結果を出しているならともかく、1軍の当落線上にいる立場であることを考えると、立ち振る舞いに気を付けた方がいい。巨人で活躍してほしい思いはありますが、危機感を持たなければ数年後にトレードで放出される可能性がある。いつまでも期待の若手ではない。新しい選手はどんどん入ってきますし、結果を出せない選手は淘汰される。勝負の世界は厳しいですから」

 まだ高卒4年目、とは言えない。球界を代表する強打者たちの歩みを見ると、高卒4年目が分岐点となっている。岡本は4年目の18年に全143試合出場して打率.309、33本塁打、100打点をマーク。22歳シーズンでの打率3割、30本塁打、100打点は史上最年少記録だった。村上宗隆ヤクルト)も4年目の21年に打率.278、39本塁打、112打点で自身初の本塁打王を獲得している。そして、松井氏も4年目の96年に打率.314、38本塁打、99打点と前年から飛躍的に数字を伸ばし、11.5ゲーム差をひっくり返す「メークドラマ」で大逆転優勝に大きく貢献。史上最年少でMVPを受賞した。

 秋広は大きく飛躍できるのか。今後の野球人生を占う上でも、重要なシーズンになる。

(今川秀悟)

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