大型野手と期待されドラフト指名された秋広。2020年10月、二松学舎大付高で
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 巨人は阿部慎之助監督が就任し、積極的に若手を登用している。萩尾匡也、佐々木俊輔が外野の定位置争いで頭角を現す中、この選手も殻を破ってほしいとファンの期待が大きい成長株がいる。高卒4年目の秋広優人(21)だ。

【写真】巨人から移籍して開花した大田

 昨年は121試合出場で打率.273、10本塁打、41打点をマーク。規定打席に4打席足りなかったが、7月下旬には4試合連続アーチを放つなど、飛躍の年となった。身長2メートルの恵まれた体格からフリー打撃で放つ打球はスタンド上段に突き刺さる。飛距離はチームトップクラスだろう。日米通算507本塁打をマークした松井秀喜氏の後継者として期待され、22年から背番号「55」を背負っている。球団の期待は大きく、昨年オフの契約更改では、推定年俸が5倍以上に増額した。
 今年の春季キャンプでは、打撃練習で臨時コーチを務めた松井秀喜氏から打撃フォームで助言を受けた。グリップの位置が左肩付近まで下がり、スイングに力強さが増した。今年はレギュラーの座をつかみ、長打力を看板にクリーンアップに定着する活躍を――。球団も秋広自身も、明るい未来を思い描いただろう。

 だが、オープン戦は16打数2安打で打率.125、0本塁打と結果を残せず、開幕は2軍スタート。イースタンリーグでも打率.216、0本塁打と胸を張れる成績ではない。ベテラン・梶谷隆幸の故障に伴って今月7日に1軍昇格したが、打撃でアピールしなければファームに逆戻りとなる。

松井秀喜タイプというより駒田タイプ?

 セ・リーグのある球団の首脳陣は、秋広についてこう分析する。
「強打者になる資質は間違いなく備えている。ただ、彼が松井秀喜さんのような生粋の長距離砲と言われるとどうですかね。僕は中距離砲だと思っています。恵まれた体格で打球を飛ばしますが、柔らかくて器用なんですよね。変化球への対応力が高く、詰まっても逆方向の左前に落とす技術を持っている。イメージとしては駒田徳広さん(元巨人など)に近いかな。打率3割、20本塁打を継続するタイプだと思います。安打の延長線が本塁打で、強引に長打を狙うと彼の良さである柔軟性が失われて、空振りや引っかけた打球が増える。実際に昨年のシーズン終盤からその兆候が見えるようになりました。今年も打撃の状態がいいとは言えない。もちろん何かきっかけをつかめば覚醒する可能性が高いので、警戒はしますけどね」

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岡本と大きく異なる秋広の特徴