今回最もたくさん採れたコゴミは、カラカラになるまで干して保存します(写真:本人提供)

 だがなんと言ったらいいのだろう。自然の圧倒的な懐の中で、自然の都合に合わせて生きるばあちゃんのかっこよさに私は痺れた。全く無駄のない動きで風のように最上の山菜だけを採り、自分で保存した食材であっという間にシンプルなおかずを何品も作りまくるばあちゃんからは「自由」の香りがした。我らはなぜ、思うように生きたいと願うほど、思うに任せぬ世の中に足を取られまくってしまうのだろう。その答えが目の前にある気がしたのである。

AERA 2024年5月20日号

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稲垣えみ子

稲垣えみ子

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

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