夕方、子どものお迎えに行き、一緒に帰宅する母親。父親の姿を見かけることも増えてはいるが、女性側の負担が大きい現状が続く(写真:写真映像部)
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 結婚したら女性はキャリアをあきらめるのが主流だった日本の社会が変化する中、共働き夫婦の家事・育児の分担は実際どうなっているのか。AERA 2024年5月20日号より。

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「いいな、最近の若いご夫婦は」

 出産したら女性は会社を去るのがまだ主流だった世代の筆者(52)からすると、夫婦で家事・育児を分担してキャリアを積む令和の30~40代は、まばゆい。もちろん今でも一方がキャリアをあきらめるケースはあるが、取材をしていると確実に夫婦のスタンダードが変化してきたことを感じている。

 東京都内のコンサルティング会社で働く女性(43)は38歳の時、大手メーカーに勤める5歳下の夫(38)と結婚。翌年、出産した。当時は派遣社員として働いており、出産に伴い雇用契約は終了することに。派遣元で産休・育休を取得した後、夫のアドバイスや理解ある上司のサポートもあり、契約社員として元の勤務先に復職。翌20年には正社員となり、昨秋は係長に昇格もした。慌ただしい日々だが、女性はこう話す。

「うちは夫が料理を全部やってくれるんです。作るだけでなく今週はCO-OPに何を発注して何を作るかまで考えてくれるので、すごくありがたい」

 女性の夫は今の30代後半の男性の中でも特に「やるほう」だが、同じように自然体で家事をこなす夫は確実に増えている。

「この20年ほどで男性の意識が相当変わった」

 と解説するのは、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院の治部れんげ准教授だ。男性も育児休暇が取りやすくなるなど企業の制度が整ってきたことに加え、女性側の意識が変わってきた影響も考えられるという。

「夫にどこまで家事をやってほしいかという妻側の期待値も以前と比べて明らかに上がっている。妻に収入がある場合、夫は『やらないと離婚される』というリアルなプレッシャーを感じるため一生懸命やる、というケースもあります」(治部さん)

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