AERA 2024年5月20日号より

「夫自慢のマウント」

 冒頭の夫婦の場合、料理以外の家事と育児は、基本的には妻である女性の担当だが、夫が先に手を出し、「俺ばかりやるのは不公平だ」と爆発されることがあるという。女性はその度に謝ってはいるが、「そこまで頼んでいないのに……」というのが本音だ。だが、同世代もしくは年上の男性と結婚した友人たちから、ここまで家事をする夫の話は聞いたことがない。「夫自慢のマウント」ととられかねないため、女性は友人の前ではあまり夫の話はしないように気を付けているという。女性は実感を込めて話す。

「私や夫の世代がちょうど端境期なんだと思います。私ももっと早く結婚して子どもを産んでいたら体力的にはラクだったかもしれないけれど、遅くなったおかげで、『家事は一緒にするのが当たり前』という夫と結婚できました。晩婚で夫が年下、かつ高齢出産だったことがいい方向に働きました」

 家事・育児を上手にシェアする夫婦は、働き方も柔軟だ。

 東京都に住む広報製作業に携わる妻(47)と、福祉関係の仕事をする8歳年下の夫(39)。小中学生3人の子どもを育てているが、夫はこれまで数回、職種や職場を変えている。夫は、その理由を、

「育児と両立できる仕事を求めて転職を繰り返した」

 と気負いなく話す。筆者が10年ほど前に取材した1960年代生まれの女性が、自身より収入の低い夫の「メンツ」を常に気にしていたのとは好対照だ。(ライター・大塚玲子)

AERA 2024年5月20日号より抜粋

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