ユダヤ人もパレスチナ人も、ヘブライ大学のすべての学生は、人生に役立つ教育を受けるために勉強していることを忘れてはならない。とりわけパレスチナ人学生たちは、一つ、時には二つの新しい言語を学ばなければならない。彼らの母語はアラビア語だが、ヘブライ大学で勉強するには、ヘブライ語と英語の両方でコミュニケーション、読み書きができる必要がある。より多くのパレスチナ人学生に学んでもらうために、ヘブライ大学は、パレスチナ人学生が大学に入学する前に、塾のようなヘブライ語予備コースを提供している。  

 私たちの大学は対話、理解、和解を促進することに専念し続けている。私たちは、イスラエル人とパレスチナ人の間の平和と協力を促進するイニシアチブを、キャンパスコミュニティー内外で積極的に支援している。教育と相互尊重を優先することで、私たちはすべての人にとってより明るい未来になるよう努めている。

 ガザにいるイスラエルの人質が早く帰還し、戦争を終わらせ、パレスチナ人とイスラエル人の生活がより良いものになることを願う。 イスラエル国民の目から見れば、安定した停戦を実現するためには、人質の解放が不可欠である。そうして初めて、私たちは徐々に共存を築き、平和的な方法を話し合うことができる。停戦は、おそらく米国が仲介するだろうが、ガザの将来とイスラエル人の安全保障をともに満たすための解決策について、考える時間を与えてくれるだろう。

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Nissim Otmazgin

Nissim Otmazgin

〇Nissim Otmazgin(ニシム・オトマズキン)/国立ヘブライ大学教授。トルーマン研究所所長を経て、同大学人文学部長。1996年、東洋言語学院(東京都)にて言語文化学を学ぶ。2000年ヘブライ大学にて政治学および東アジア地域学を修了。2007年、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科修了、博士号を取得。同年10月、アジア地域の社会文化に関する優秀な論文に贈られる第6回井植記念「アジア太平洋研究賞」を受賞。2012年、エルサレム・ヘブライ大学学長賞を受賞。研究分野は「日本政治と外交関係」「アジアにおける日本の文化外交」など。京都をこよなく愛している。

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