人文学部の学部長として、私はいくつかの課題に直面した。学生の20%近くはパレスチナ系アラブ人で、主にイスラエル北部と東エルサレム出身だ。私たちのカリキュラムは、イスラエルとパレスチナの紛争に関連するデリケートなトピックに焦点を当てているため、バックグラウンドに関係なく、すべての学生の懸念に対処することが不可欠だった。
10月7日以降、ユダヤ人、パレスチナ人の学生の双方が、治安上の懸念を考慮して、キャンパスに戻ることへの恐れを表明した。さらに、一部のパレスチナ人学生は、ソーシャルメディアでハマスの残虐行為を賛美した少数の個人の行動のために、テロリズムの責任を不当に負わされることを恐れていた。すべての学生の安全と幸福のバランスを取りながら、包括性と対話を促進することが私にとっては最も重要だった。
大きな課題の一つは、予備役に招集された学生が、欠席した授業を取り戻すのを支援することだった。戦争のために学年が延期されたため、兵役に就いていた学生の帰国を調整するのは複雑だった。私たちは講義の録画を提供し、特別セッションを開催し、彼らの学業をサポートするためにメンターを割り当てた。
さらに、キャンパスに戻った学生の経験や不安に対処するために、教職員や管理スタッフを手当てすることも重要だった。トラウマや恐怖に関する相談を受けるため、心理学の専門家が主導するワークショップを開催した。
私たちが譲れない原則は、人種差別と暴力に対する「ゼロトレランスポリシー」を維持すること、つまりすべての学生が尊重と包括性の基準を順守し、それを保証することだ。暴力や差別を支持する表明に対しては、迅速な懲戒処分が厳しく下され、安全で包括的な学習環境をつくることが求められている。
例えば、ソーシャルメディアで「ユダヤ人やアラブ人の殺害を支持する」と表明する学生を、私たちは受け入れない。「ガザは一掃されるべきだ」とフェイスブックに書いたユダヤ人学生は停学処分にされ、「10月7日は人生で最高の日だった」と書いたパレスチナ人学生も召喚された。私の学部の事務職員の一人は、「ここで働くアラブ人が怖いのでキャンパスに来たくない」と言ったので、私は別の仕事を見つけたほうがいいと促した。