キッチンの換気扇に侵入経路がないか確認する鈴木さん(撮影/大谷百合絵)

パニックを起こして泣く依頼者も

 また、自称・元宇宙物理学者の高齢男性が住むマンションには、飲食店や工場にいることが多いチャバネゴキブリが「見たことないくらい」大量にいたという。

「ずっと放置し続けたのか、数千匹はいましたね。依頼主のおじいちゃんは手でたたきつぶしていました。『興味があれば本棚の本を持って行っていいよ』とおっしゃるんですけど、本の隙間にびっしりとゴキブリがいて……」

 そう苦笑する鈴木さん。ゴキブリを見れば「一応気持ち悪いとは思う」そうだが、依頼主の前で嫌な顔をするわけにもいかないので、日々淡々と駆除にあたっている。

 緊急SOSの電話をかけてくる人の中には、パニックを起こして泣いていたり、既にホテルや漫画喫茶に避難していたりする人もいるという。依頼主の男女比は、男性4:女性6ほど。過去には、「彼女の家にゴキブリが出て駆けつけたものの、どうしても立ち向かえなかった彼氏」や、「『ほんとムリなんで!』と全力でおびえる、ゴリゴリマッチョ&入れ墨姿の男性」もいたという。

 結局、Aさんの後に依頼が入ることはなく、この日のシフトを終えた鈴木さん。最後にこうつぶやいた。

「ゴキブリがいなくなることはないし、ゴキブリが嫌いな人がいなくなることもないと思う。これからもこの仕事を続けるつもりです」

 人間とゴキブリとの闘いは、まだまだ続く……。

(AERA dot.編集部・大谷百合絵)

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