ある日、小学生の娘から「ゴキブリを飼いたい」といわれ、大いに戸惑いながらもサポートするのは、認定NPO法人REALs(リアルズ)理事長の瀬谷ルミ子さん。念願の飼育をスタートし、ますますゴキブリ愛を深める娘の瑠香さんは、最近では「ゴキブリを食べること」にも関心を持ち始めています。今回は芽生えた「好き」をどのように広げていったのかについて、瀬谷さんと瑠香さんに話を聞きました。※前編<ある日、子どもに「ゴキブリ飼いたい!」と言われたら? ゴキブリ嫌いの母が娘の興味に寄り添い、飼育をサポートするまで>から続く

MENU スマホの待ち受け画面も、やっぱりアレ 新たなゴキブリの飼育にも挑戦! どんどん広がる興味「ゴキブリを食べてみたい」 親の価値観を押し付けすぎないように 「ゴキブリは必要な生きもの」多くの人に知ってほしい

スマホの待ち受け画面も、やっぱりアレ


「先日娘と一緒に出かけたときに、娘がスマホを落としてしまって、ちょっと大変だったんです」と瀬谷さん。どうやら、拾われたスマホを受け取るときに少し困ったことが起こったようです。
「本人確認で『待ち受け画面は何ですか?』って聞かれたんです。もちろん娘のスマホの待ち受けは、“例のアレ”なので、つい答えるのをためらってしまって(笑)。そうしたら『本当に本人なのか?』と少し怪しまれてしまいました……」と苦笑いで振り返ります。

 ちなみに瑠香さんの例のアレとは、一番の推しである「クロゴキブリ」。画面いっぱいに拡大されたその画像はインパクト抜群です。


 学校でも、瑠香さんはゴキブリ好きを公言しています。英語の授業で、憧れの人や友達になってみたい人を紹介する課題が出たときも、その相手はなんと「cockroach(ゴキブリ)」。先生やクラスメイトはそんな瑠香さんの個性を温かく見守っているとのことです。
 図工でも、クラス会の飾りつけも、もちろんモチーフはゴキブリ。ビーズなどを使い可愛らしく仕上げた作品もあります。5年生の自由研究ではゴキブリについて調べ、標本まで作成しました。毎週の自主学習ノートは、手描きでゴキブリ図鑑やゴキブリの体のしくみ、ゴキブリのルーツや天敵などを説明しています。

学校で制作したゴキブリをモチーフとした作品の数々
最近の自主学習ノート。先生からは「リアルすぎませんか」「すごい‼」などのコメントも

 「同級生にとっては私がゴキブリ好きだということは常識で、『どうせまたゴキブリのことだろう』って思われてます。でも反応は気にならない」と瑠香さん。人と違うことを気にせず、自分の「好き」を貫く姿は、堂々としていて眩しく映ります。

 瀬谷さんも「私自身が、人と同じことをするのもいいけど、人と違うことをするのにも大きな価値があると考えていて、普段から『人と違っていいんだよ』という話はよくしています。その影響もあるのかもしれません」と語ってくれました。

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柳澤聖子
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