“割安”で争奪戦になりそうな坂本

 大城は推定年俸1億3000万円。人的補償が発生するBランクとみられる。これが獲得の判断材料としてどう影響するか。セ・リーグ球団の編成担当は次のように語る。

「チームに必要で獲るべき選手は、人的補償が発生したとしても獲得を検討することになるでしょう。大城の場合は年俸が高く感じないですし、人気になると思いますよ。他の捕手と違う優位性は打撃が魅力的なことです。木下もパンチ力がありますが、大城の方がミート能力で上回る。セ・リーグの場合は8番に打力がない捕手がスタメンに入ると、9番の投手と自動アウトが2つ続き、得点力が落ちる。大城はクリーンアップを打てる力を持っていますし、守備面も技術が年々向上している。まだ先の話ですが、FA権を行使するかは注視することになるでしょう」

捕手の移籍は「玉突き」連鎖が起きやすい

 捕手の移籍で言えば、22年オフに森友哉が西武からオリックスにFA移籍。そのオリックスから伏見寅威が日本ハムにFA移籍した。正捕手のポジションは1枠しかない。FAで他球団から選手が移籍してきた場合、「玉突き移籍」が連鎖する可能性がある。過去には谷繁元信が横浜(現DeNA)から中日に01年オフに移籍した際、中日の正捕手だった中村武志が出場機会を求めてトレードを志願し、金銭トレードで横浜に移籍した。
 大城、甲斐、坂本、木下……各選手の決断が、他の選手の去就に影響を及ぼす可能性がある。

 もちろん、シーズン真っただ中の現在は野球に集中している。大城はファームでもう一度鍛え直すことになり、甲斐は首位を快走するチームの正捕手として活躍。坂本は梅野隆太郎の併用で先発マスクをかぶる。木下は絶対的な正捕手という立ち位置でなく、25試合出場で打率.148、1本塁打、2打点。宇佐見真吾、加藤匠馬と定位置争いを繰り広げている。
 パ・リーグはソフトバンクが首位を独走し、セ・リーグは首位から最下位までが団子状態。今後の順位変動に大きなポイントとなる捕手の活躍に注目したい。

(今川秀悟)