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 集中力が続かない原因はなんだろうか? 順天堂大学医学部教授・小林弘幸さんは「自律神経の乱れが集中力の低下につながる」と話す。日常の中のちょっとした習慣が、自律神経を乱すそうだ。小林さんの著書『自律神経の名医が教える集中力スイッチ』(アスコム刊)から、集中力を低下させる悪い習慣を紹介する。

その集中力がハンパない。東大相撲部から角界入りを果たしてしまった

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スマホが集中力を奪う

 2013年のカナダのマイクロソフト社の発表によると、現代人の集中力は8秒しか続かず、金魚の9秒を下回る――すなわち、人間の集中力は金魚以下であるという内容でした。とくに若い世代は、ネットニュースにSNSにソーシャルゲームにと、つねにスマホに視線を送り、さまざまな情報を得ようとしている人が多いです。この「あれもこれも」となってしまう状態が、ひとつのことに集中する能力を減退させる一因になっていると考えられます。

 情報過多社会は、人々の生活からゆとりの時間を奪いました。せわしない生活を送っていると、脳が興奮状態から抜け出しづらくなってしまい、結果として自律神経が乱れることになります。そして、そんな状況に拍車をかけるのが、SNS依存です。知らず知らずのうちに入ってくるネガティブな情報、相手への気づかいに端を発する返信の内容やタイミングに対する悩みなどが、余計なストレスを生みます。

 つまり、SNSに依存すればするほど、ストレスによって自律神経は乱れていきます。

リモートワークが集中できない原因かも

 リモートワークが自律神経と集中力の乱れを生む原因になっている場合があります。

 「居心地のいい自宅で仕事ができるのだから、リラックスできるのでは?」と思われがちですが、意外にそうはいかないもの。ひとりで仕事を完結しなければならないという責任感や孤独感、子どもをはじめとする家族への配慮などが、思いのほかストレスとしてのしかかってきます。

 人間は環境の変化が大の苦手で、それがストレスを生み、自律神経の乱れをもたらすのです。

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小林弘幸

小林弘幸

小林弘幸(こばやし・ひろゆき) 順天堂大学医学部教授。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。1987年、順天堂大学医学部卒業。92年、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科などの勤務を経て順天堂大学小児科講師、助教授を歴任。腸と自律神経研究の第一人者。『医者が考案した「長生きみそ汁」』など著書多数。テレビなどメディア出演も多数。

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自律神経の乱れが「失神」にも