僕は「スマスマ」においては放送作家という立場でしたが、それだけの意識ではなかった。プロデューサーであり、演出家でもあるようなすごいポジションだったなと思うんです。番組が始まった最初から最後まで彼らをみていた大番組のスタッフって少なくて、多分、その中心にいるのは僕ひとり。だからこそ自分の中でこれを書く意義がありました。

──SMAPに対しては、“戦友”というたとえがふさわしいと、読んでいても感じました。

鈴木:本当にそうですね。戦地に行って、一緒にずっと戦ってました。20年間、休みがなかったですからね。

──『もう明日が待っている』では原則的に登場人物は仮名です。SMAPというグループ名も、曲名も出てきません。

鈴木:それは単純な話で、もしこれがドキュメンタリーだったら、旧ジャニーズも含め、関係者すべてに取材をして、いろんな人の意見を表現しないといけない。でも、この小説は、あくまで僕の視線から書く物語なんです。僕の感情もすごく入っている。だから、仮名にしたのは小説にするにあたってのエチケットです。

──仮名ではありますが、彼らアイドルを“超人”にしてしまう必要はないんだという眼差しが徹底されていると感じました。

鈴木:それがすごく大事だったと思います。

(構成/ライター・松永良平)

AERA 2024年4月29日-5月6日合併号より抜粋

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