大みそかの「K-1 PREMIUM 2003 Dynamite!!」は名古屋ドームで行われた。解説陣に、元横綱・貴乃花、元プロ野球選手・清原和博、柔道家の古賀稔彦と豪華な面々が顔をそろえた。ゲストにはブラジルの総合格闘家ヒクソン・グレイシーや女優の藤原紀香、長谷川京子らを招き、ハワイからの中継でプロボクサーのマイク・タイソンが出演、国歌斉唱に歌手のスティービー・ワンダーと小柳ゆきという豪華なキャスティングで臨んだ。

 試合のメインはもちろん「曙vs.ボブ・サップ」。超重量級の両者がぶつかるだけに、戦前から迫力ある試合になることをだれしもが予想していた。

「自分、一発で倒しますから」

 1993年にK-1を創立し、現在アドバイザーを務める石井さんも、格闘家になって間もない曙さんを指導した。曙さんは、ボブ・サップ戦の前、石井さんの正道会館を訪れ、格闘技の練習をしたという。

「曙さんは運動神経がよかったです。本人もボブサップに対して自信があり過ぎるくらいで『大丈夫です。自分、一発で倒しますから』と言っていました。破壊力に自信があったんだと思います。うちの道場に、学生横綱を決める大会で3位くらいになった子がいたんですが、曙さんと相撲を取らせたら全く勝負にならなかった。曙さんは片手で投げていましたね。すごいなと思ったけど、やはり“たたきっこ”や“蹴りっこ”のルールとは違うんですよね」(石井さん) 

 試合は1ラウンドの3分になる直前、ボブ・サップの右ストレートを浴びた曙さんはリングに倒れて動かず、ノックアウト負けだった。

「曙さんはボブ・サップをコーナーまで押し込んだから、相撲なら押し出しで勝っていた(笑)。ただ、試合ではコーナーでボブ・サップにガードを固められ、粘られてパンチを打たれてしまった。相撲と違い、グローブをつけているので、手のひらでたたくのとグーでたたくのとでは打ち方も違うからね。難しかったんだろうな」 (石井さん)

 試合時間は短かったが、谷川さんは当時を思い出しながら興奮気味に話した。 

「『K-1』は、瞬間視聴率で史上初の『NHK紅白歌合戦』超えとなる43%を取りました」

2003年大みそかのK-1でのボブ・サップ戦。1ラウンドで敗れたが、デビュー戦で大きな話題となった
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小錦の指導が大きかった