※写真はイメージです。本文とは関係ありません(gettyimages)

 毎月、たくさんの相談の文章が送られてきます。その中には、ただ自分のされたこと、思ったことをえんえんと書いているものもあります。相手にどう伝えようかとか、何が一番言いたいことなのかとか、そういう「客観的な描写」をする心の余裕がないケースです。ただもうつらくて、心の中を吐き出している。まだ苦しみや悩みの真っ只中にいて、ただ混乱している状態です。

 でも、ゆんさんはそうではないですね。少しずつですが、ゆんさんは、母親を分析し、母親から受けたことを描写している。それは、「呪い」ではなく、「影響」ですね。

「影響」を客観的に見られるようになると、その「メリット」と「デメリット」も分かるようになります。

 毒親である母親の影響に「メリット」なんかあるわけないと思いましたか。僕はひとつだけあると思っています。それは、「こんなことを人にしてはいけない」という「リスト」をくれたことです。

「母のように当たり散らしたりしないだろうか」「心無い言葉で周りを傷つけないだろうか」 と、ゆんさんは書きますが、分かっているからこそ、これらのことに敏感になり、充分意識し、避けられるようになると僕は思います。

「当たり散らされた」からこそ、「当たり散らしてはいけない」とはっきり分かるのです。「心無い言葉で傷つけられた」からこそ、「心ない言葉で傷つけてはいけない」と肝に銘じるのです。

 うんと傷ついたからこそ、人を傷つけることにゆんさんは敏感になれるのです。

 ゆんさん。「呪い」だと思ったら、「自分は知らないうちにやってしまうかもしれない」と怯えます。でも、「影響」だと思ったら、「なるほど。ここで怒りそうになるのか。これは母親の通った道だな」と分析できて、回避できると、僕は思うのです。

「ふとした時に『私はいま母のようではなかったか?』と常に影のように付きまとわれています」とゆんさんは書きます。母親が魔法使いで、呪いをいまだにゆんさんにかけているのなら、この心配は当たっています。

 でも、母親がただの人間で、呪いの魔法は使えず、ただゆんさんに「強い影響」を与えているだけなら、「影のように付きまとわれてい」ると感じるのは、母親のかけた魔法ではなく、ゆんさんが自分で自分にかけた暗示です。

 母親は魔法使いに違いない、私はまだ魔法にかかっているに違いない、だから、どうしようもできないんだという暗示を自分で自分にかけているだけです。

 魔法ではありません。影響です。影響は、ゆっくりと着実に、時間はかかりますが、抜け出すことができます。

 できれば、1年に1回でも母親に会うのは避けた方がいいと僕は思います。影響に振り回されなくなるまで、父親に会っても、母親に会うことは避けた方がいいと思います。会うと、「呪い」が存在しているかのような気持ちになるかもしれません。せっかく消えかけた影響が戻るかもしれません。それで、ずっと会わなくなってもしょうがないと思います。

 ゆんさん。「呪縛」ではないですからね。「影響」ですからね。

「してはいけないリスト」を意識すれば、チームで活動するのも、企画を出すのも、コントロールできるようになると思います。そうして、「強い影響」から「影響」へ、「弱い影響」へ、「ほんの少しの影響」へと、ゆっくりと時間をかけて変わっていけると僕は思います。

 ゆんさん。きっとうまくいきますよ。

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