一方の仙台育英も秋は県大会で敗れたものの、この春の練習試合では山口廉王(3年)が最速149キロをマークし、他の投手も順調にレベルアップを遂げているという。野手陣についても昨年から多くのメンバーが入れ替わっているが、U18侍ジャパン候補にも選ばれた湯浅桜翼(3年)が強化合宿でパワーアップしたところを見せており、冬の間にチーム全体が力をつけてきていることは間違いないだろう。

 過去10年の夏の甲子園優勝校を振り返ってみると、2022年の仙台育英以外は関東と近畿に集中しており、春を含めても寡占化が進んでいるように感じる。それだけにまた違う地域から旋風を巻き起こすようなチームが出てくることも期待したい。(文・西尾典文)

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。
 

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