昨年もエースとして夏の甲子園優勝に貢献した小宅雅己

 第96回センバツ高校野球は健大高崎(群馬)が春夏通じて初となる優勝を果たした。高校ナンバーワン捕手の呼び声高いキャプテンの箱山遥人(3年)など力のある野手が揃い、投手もともに2年生ながら佐藤龍月、石垣元気の強力二枚看板を擁し、優勝にふさわしいチームだったことは間違いないだろう。また2年連続で準優勝となった報徳学園もプロ注目の大型右腕である今朝丸裕喜(3年)、安定感が光る間木歩(3年)という2人の好投手が揃い、鉄壁と表現できる守備としぶとい打撃も見事だった。

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 しかし過去を振り返ってみても、春のセンバツで上位進出を果たしたチームがそのまま夏の甲子園でも勝ち進む例は決して多くない。昨年もセンバツで準決勝に進出した4校のうち、夏も甲子園に出場できたのは広陵(広島)だけだった。逆にセンバツ出場を逃したチームが夏に一気に力をつけることも非常に多いのだ。今回はそんな今年のセンバツに出場できなかったチームで夏に注目の学校を紹介したいと思う。

 昨年の秋季大会では関東のレベルが高いという声が多く、センバツでも健大高崎が優勝、中央学院(千葉)がベスト4、山梨学院(山梨)がベスト8に進出するなど前評判通りの戦いぶりだった。そんな中で中央学院と最後までセンバツ出場を争った桐光学園(神奈川)も面白いチームの一つだ。キャッチャーの中村優太(3年)、ショートの森駿太(3年)、センターの矢竹開(3年)の3人は1年夏から出場しており、セカンドの白鷹悠人(2年)も下級生ながら攻守にセンスが光る。これだけセンターラインに注目選手が揃うチームはなかなかない。4月7日に行われた春の神奈川県大会の初戦でも、両翼100メートル、センター120メートルの等々力球場で森と矢竹の2人がフェンスオーバーのホームランを放ち、低反発の新基準バットを感じさせない強打を見せた。矢竹を筆頭に足を使える選手も多く、攻撃力に関しては間違いなく全国でもトップクラスである。エースの法橋瑛良(3年)も安定感があるだけに、二番手以降の投手をどこまで整備できるかが夏に向けての大きなカギとなりそうだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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