桐光学園と同じく秋の関東大会準々決勝で敗れた花咲徳栄(埼玉)も注目のチームだ。中でも注目がプロのスカウトから高い評価を得ているショートの石塚裕惺(3年)だ。秋の関東大会でも2試合で6打数5安打、初戦では特大の一発も放っている。先日行われたU18侍ジャパンの強化合宿にも招集され、木製バットでも柵越えを連発するなどそのパワーは今年の高校生全体でも屈指だ。小柄ながらスピードとミート力が光るトップバッターの斎藤聖斗(3年)、大型外野手の田島蓮夢(2年)など石塚以外にも力のある野手が揃う。関東大会では不安定だった投手陣もエースの上原堆我(3年)は140キロを超えるスピードがあり、あらゆるタイプのピッチャーを揃えているのも強みだ。上手く投打がかみ合えば、甲子園でも上位を狙えるだけの力はあるだろう。その花咲徳栄と埼玉県でしのぎを削る浦和学院(埼玉)もタレントが揃う。特に主砲の三井雄心(3年)は入学直後からクリーンアップに座る左の強打者で、垣内凌(2年)、西田瞬(2年)、石田陽人(2年)の下級生3人も楽しみな選手たちだ。投手陣の底上げができれば全国でも勝てるチームになる可能性は高い。

 関東以外では近畿の履正社(大阪)を挙げたい。昨年秋の近畿大会では準々決勝で京都外大西(京都)に敗れたが、ポテンシャルの高い選手が揃っている印象を受ける。旧チームから中軸の近沢賢虎(3年)は上背はないもののパンチ力は抜群で、下級生の二遊間コンビの辻琉沙(2年)、矢野塁(2年)の2人も抜群の守備力を誇る。投手では昨年夏の甲子園も経験した高木大希(3年)が140キロ台中盤のスピードがあり、1試合を投げ切るスタミナも備えている。高木に次ぐ投手を確立することができれば、昨年に続いて大阪桐蔭(大阪)を破ることも十分に期待できそうだ。

 最後に忘れてはならないのが昨年夏の甲子園で決勝を戦った慶応(神奈川)と仙台育英(宮城)の2校だ。慶応は小宅雅己(2年)、鈴木佳門(3年)と昨年夏の甲子園を経験した2人の投手が残り、野手も主砲の加藤右悟(3年)が外野から捕手に回り、攻守の中心となっている。この春は小宅、鈴木の2人が出遅れているとのことだが、それでも県大会の初戦では危なげなくコールド勝ちをおさめている。昨年も夏に一気にチーム力を上げてきただけに、桐光学園や横浜(神奈川)とレベルの高い争いを繰り広げることを期待できそうだ。

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